院長のブログ | たけなか眼科

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日本眼科啓発会議は、今年から6月10日を「こどもの目の日」として記念日登録しました。これは「6歳までに弱視を治療して視力1.0を獲得」し、「6歳からも目を大切にして視力1.0を維持」していくという願いを込めて6月10日に定められました。
生まれたばかりの子の視力は0に近いですが、ピントの合った良い映像が目の中に入ることで3歳ころにかけて、視力1.0を獲得することが出来ます。しかし、強い遠視や乱視、斜視などがあると、良好な映像が目の中に入ってこないために、視力が向上しません。これを弱視と言います。3歳ころまでに発見できれば、そこから眼鏡などの治療をすることで視力1.0を獲得出来る可能性は高いですが、8歳ころに分かった場合はそこから治療をしても、視力を上げることは難しいことが多く、その後は眼鏡などを使用しても、たとえば0.5くらいまでしか見えないなど支障をきたしてしまいます。現在広島県では、3歳児検診で屈折検査が100%実施出来ることになりましたので、そこでほとんどの子の弱視は発見出来ると思いますが、検診が受けられなかった方や、気になることがあればお気軽にご相談下さい。

笑気麻酔

当院で、低濃度笑気ガス麻酔器を導入しましたので、今回は笑気麻酔についてお話しします。笑気麻酔とは、亜酸化窒素と酸素を用いた麻酔で、古くから痛みを抑える麻酔として使用されていました。近年、その濃度を低くした低濃度笑気ガス麻酔が、子どもの歯科治療などによく用いられています。個人差はありますが、恐怖心や不安感から開放されリラックスした状態で治療が受けられます。低濃度であるために、リスクも低いです。
手術が怖くて、緊張感が強い場合には、有効な麻酔となります。また閉所恐怖症の方や、緊張で頻脈になったり、血圧が上がる人にも作用を発揮します。
使用後には酸素吸入をしますが、すみやかに排出され身体の中に残らないので、数分で元の状態に戻ります。
当院では白内障手術や緑内障、硝子体手術の際に、ご要望があれば行なっていますので、手術が怖い方や、不安な方はお気軽にご相談下さい。

ものを見るときに、眼の奥の網膜に入った情報は、神経を伝わり視神経乳頭(写真1)という部分に集まります。それが視神経となり脳まで伝わります。視神経乳頭の中心は凹んでいますが、この陥凹が大きくなる異常を、視神経乳頭陥凹拡大と言います(写真2)。
人間ドックなどの眼科検診でも、よく指摘されるものです。
視神経乳頭陥凹拡大は緑内障の可能性があるため、眼科で検査をすることが必要です。緑内障になると、眼の神経が弱っていくために乳頭陥凹拡大を生じるのです。緑内障のスクリーニング検査としてOCTという検査が有用です。眼の奥の写真を撮るだけで緑内障がありそうかどうかを判定できます。写真3は実際に緑内障があった方の結果です。赤いラインの部分は神経が弱くなって、厚みが薄くなっていることを示します。写真4は人間ドックで視神経乳頭陥凹拡大を指摘された方ですが、当院のOCT検査で緑内障ではないことがわかった方です。OCTで赤い部分がなく、神経がしっかりあることがわかります。
40歳以上の20人に1人が緑内障だと言われています。検診で指摘された方はもちろん、眼の検査を受けたことがない方も、一度眼科を受診して調べてみることをおすすめ致します。当院ではOCT検査、視野検査などで緑内障の診断が可能で、治療も行なっています。気になる方はお気軽にご相談下さい。

写真1 正常
写真2 乳頭陥凹拡大
写真3 緑内障
視神経乳頭
OCT
写真4
視神経乳頭
OCT

網膜静脈閉塞症とは、眼の奥の網膜を栄養する血管が詰まって、視力が低下する病気です。高血圧や高脂血症、糖尿病などで動脈硬化が進むと起こりやすくなります。詰まる部位によって、網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症があります。
症状としては視力低下や、歪んで見える症状があります。実際の網膜中心静脈閉塞症の写真と、網膜の断層写真をお示しします(写真1)。かなり強い出血と、網膜が水ぶくれ(浮腫)をおこしているのがわかります。治療は眼の中に注射をする治療が第1選択です。治療後の状態が写真2です。出血が軽快して、網膜の浮腫も改善しているのが、お分かりいただけると思います。網膜の循環を改善する目的でレーザー治療を行なうこともあり、場合によっては眼の中の手術(硝子体手術)を行なうこともあります。当院ではこれらの注射の治療、レーザー治療、手術も行なっております。見えにくい症状があれば、お気軽にご相談下さい。

写真1(治療前)
視力 0.15
写真2(治療後)
視力 0.7

先日、感染症に対する専門家の先生のお話を聞きました。その中から印象に残ったことをお伝えしたいと思います。

  1. マスクの重要性: マスクを着用することで、自分から出る飛沫をある程度抑えられることは分かっていても、自分の予防にどこまで有効であるかは、疑問に思う方もおられると思います。あるデイサービスでのクラスターの例を見ました。PCR陽性の21名中、マスク着用は5名(23.8%)だったのに対して、PCR陰性の22名中、マスク着用は18名(81.8%)でした。同じ環境にいたにも関わらずマスクをしていることで、感染をかなり防げていることが示されました。
  2. 涙液からの感染リスクは高くない: 17例の新型コロナウイルス感染者の涙液からのPCR検査がすべて陰性だったことが報告され、涙液に含まれるウイルス量は少ないと考えられました。
  3. アルコールの効果が高い: 石けんで30秒洗うと細菌数は1/60~1/600に減少するのに対して、アルコール消毒は15秒で1/3000になるため、アルコール消毒の効果はとても高いと言えます。
  4. 近日、唾液からの抗原検査が有用になる: 唾液からなら、簡便で、医療従事者の感染リスクも減らせます。抗原検査の精度もPCR並みに高くなるそうです。判定の時間も早いので、迅速に多くの方の検査が可能になると考えられます。

感染対策は、組み合わせることで、リスクを減らすことが重要です。たとえば、マスクをして感染リスクを1/10にできたとして、手指消毒でさらに1/10に、体調管理をして1/10にできたとすれば、感染リスクは1/1000になります。今後コロナウイルスとの戦いは、共存という形をとりながら、2-3年は続いていくのではないかと言われています。上手に感染対策をとりながら生活していきたいですね。

線などがゆがんで見えることを、眼科的には歪視(わいし)があると言います。歪視がある場合は、眼の奥の網膜に何かしらの病気がある可能性が高いです。眼の奥に悪い血管が生える加齢黄斑変性症や、糖尿病から生じる糖尿病網膜症などが原因としてあります。

今日お話しする、網膜前膜(黄斑前膜)も歪みを生じる病気の1つです。写真1のように網膜の表面に膜が張り、網膜を歪めるために、歪んで見えるのです。進行すると視力も低下します。放置すると視力低下や歪みはどんどんひどくなります。治療するには硝子体手術という眼の奥の手術を行ない、その膜を除去する必要があります(写真2)。進行すると、改善しづらくなるため、早期に手術するほうが視力予後は良いです。ときどき縦横の線や、障子などを片目ずつで見てみてください。歪みを自覚した場合は、一度眼科を受診することをお勧めします。当院では眼の奥の硝子体手術も行なっていますので、お気軽にご相談下さい。

写真1(術前)
写真2(術後)

世界禁煙デー

5月31日は世界禁煙デーで、WHOが禁煙を推進するために制定した記念日です。禁煙デーから1週間は禁煙週間となっています。

喫煙と関連のある眼疾患として、身近なものには白内障があります。喫煙により発症の危険が3倍以上になるという報告もあります。また喫煙は、加齢黄斑変性症の大きなリスクファクターであるとも言われています。加齢黄斑変性症とは、眼の奥の網膜に、悪い血管(新生血管)が生じる病気(写真)で、失明の可能性もある怖い病気です。日本人の失明原因の第4位になっています。加齢黄斑変性症は、発症すると、失明はしなくても、ゆがみや視力低下をおこし、完全に元の見え方に戻すことは出来ません。発症しないようにすることが重要であり、禁煙が重要であると言えます。

最近は、受動喫煙も話題になっています。愛煙家の方は、世界禁煙デーを機会に、禁煙にチャレンジされてはいかがでしょうか?

iPS細胞は京都大学の山中伸弥教授らによって作製され、すでに様々な病気の治療に応用されています。眼科でも、その治療に期待が寄せられていますが、現在は臨床研究の段階です。その中で最も有名なのは、理化学研究所で進められている、加齢黄斑変性症に対する臨床研究です。

現在、加齢黄斑変性症の治療は、新生血管の成長を抑える薬を、眼に注射する治療が主流です。障害が軽ければ、症状は改善しますが、障害が強い場合には視力は改善しません。理化学研究所でされている臨床研究では、患者さんの皮膚の細胞からiPS 細胞をつくり、シート状の網膜色素上皮細胞を作製します。手術で加齢黄斑変性症の悪い血管を取り除き、そのとき一緒に除かれてしまう網膜色素上皮細胞を移植するというものです(図)。現在は移植した細胞が癌化しないか、といった安全性の検証を行なっているところです。これですぐに、視力が元通りに戻るというわけではありませんが、加齢黄斑変性症の根本治療が可能となると考えられているので、近い将来、有望な治療オプションになるのではないかと思います。

白内障手術は濁りを取り除いて視力を上げるだけではなく、特殊な眼内レンズを用いることによって、乱視を矯正することもできます。乱視とは角膜(黒目)でいうと、形が球面ではなくて、ラグビーボールのように楕円形をしているために、旨くピントが合わずにぼやけることをいいます。

たとえば写真1を見て下さい。この方の一番上の角膜収差のところの-5.23Dというのが角膜の乱視です。数字が大きいほど乱視が強く、0Dが一番良いと言うことになります。一番下の内部収差のところが白内障の乱視で-1.71Dです。真ん中の眼球収差のところが、この人が感じる乱視で-3.87Dの乱視となります。乱視には角度があるので、この方の場合は、白内障の乱視が角膜の乱視を打ち消して、少し軽くしています。この方に普通の白内障手術で用いる眼内レンズを入れると、実際の乱視は-5.23Dになってしまい、術前よりも乱視が大きくなってしまいます。そうすると見え方の質はよくありません。

そこでこの方には角膜の乱視を打ち消すような、乱視矯正用の眼内レンズを挿入しました。術後の検査結果が写真2です。乱視矯正用のレンズを入れたために、一番下の内部収差のところは乱視が-4.25Dありますが、これが一番上の角膜の-4.55Dの乱視を打ち消して、真ん中の実際に感じる乱視は-0.41Dと0Dに近い値になっています。

通常の眼内レンズを挿入していれば、-5Dくらいの乱視が生じていましたが、乱視矯正用のレンズを挿入して、実際の乱視をほぼなくすことができました。乱視を軽減させると、見え方の質はかなりよくなります。

当院では、乱視が強い方に対しては、乱視矯正用の眼内レンズを挿入していますが、乱視を0にできるわけではなく、あくまでも軽減するものであることをご承知下さい。そのため、もともと軽い乱視の方は普通の眼内レンズをいれることで十分であるといえます。白内障手術や、その際の乱視矯正にご不明な点があれば、いつでもご相談下さい。

写真1
写真2

 新型コロナウイルスが猛威を振るっていますね。肺炎を発症することはよく耳にしますが、結膜炎を生じることもあると報告されています。2020年2月27日に日本眼科医会から、新型コロナウイルス感染症と結膜炎について発表がありました。

https://www.gankaikai.or.jp/info/20200227_COVID-19.pdf

 結膜炎だけの症状で、新型コロナウイルス感染症を診断することは困難ですが、肺炎などの症状がなければ、現時点では通常はコロナウイルスを疑わなくても良いと考えます。またウイルスを殺す点眼薬もありませんので、結局自分の体が抗体を作って治すのを待つしかありません。感染しないために、手洗い・咳エチケット・体調管理をすることと、手で直接目を触らないようにすることが重要です。ひとりひとりが注意して、1日でも早くウイルスが収束するとよいですね。

新型コロナウイルスについて

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